『この先、行き止まり。』女子高生とタイムループと謎の編入生。エンディング分岐解説


"この先、行き止まり。"というノベルゲームの紹介を。

大ざっぱには女子高生がループして同じ2週間を繰り返す、という内容です。

作者は富沢ぽぽ氏

「タイムループと秘密のありそうな編入生」という使い込まれた設定を、上手くオリジナリティのあるストーリーに料理されていて非常に楽しめました。

タイムループの能力を使えるのが2人いるというのは斬新ではないでしょうか。

物語自体は簡潔にまとめられているのですが、それでも伏線回収と真相解明がしっかりしていてエンディングも複数、と実に個人的な好みに刺さった作品です。


選択肢の場面でセーブするとロード時に一瞬で選択肢が消える現象が起きるかもしれないので注意。

プレイ方法

プレイするには以下のサイトから。
https://novelgame.jp/games/show/1576

ブラウザ版とDL版がありますのでお好きな方でプレイしてください。



ストーリーを紹介

ざっくり物語をなぞっていきます。

まずはプロローグ。

主人公たちが住んでいる「風雅市」の昔話です。

昔、クダン(件)が現れ村を嵐から救い、その後祀られているという伝承があるようです。

件とは人語を話す半人半牛の妖怪で、予言をした後すぐ死んでしまうというのが有名ですね。
「比田井あずき」

本作の主人公で、JKのブランドが最強という持論を持っている子です。
「袋谷コハク」

そしてこの子がワケありっぽい編入生

溌剌そうに見えますが、あずきには何故か違う印象のこの子がダブって見えます。

この2人が中心となってストーリーが進みます。
左2人が友人の子。

ヒカリが「見てないなら先が決まっているとは限らない」とドラマの話ですが物語の核心に触れるセリフを言うところです。

その後帰り道が一緒になった2人ですが、並んで歩いているとコハクが指を切った時にとっさにあずきがその指を口に咥え…何かの記憶が。

初対面の違和感、目の前にいるコハクとは違うコハクの記憶が確信へ変わりそれを本人に尋ねます。
そしてその場で泣き崩れるコハク。
翌日、目のハイライトが消えたコハクに屋上まで呼び出されたあずき。

そこで
・この世界が同じ2週間をループしている

・それの原因がクダンから力を授かった自分である

・最初にクダンの力を授かったのはコハクの姉であり、コハクは姉から引き継いだ

・ループを止めることが出来ず、コハクは同じ2週間を何度も繰り返している
・念じれば力を発動できるが、念じなくても2週間経てば自動的に発動する

以上の告白を聞かされます。

物語の土台となる部分ですので箇条書きで。


その後2人でクダンのことを調べますが、特に有力な手掛かりが掴めないままループが起きる当日に。
しかし、1つだけ「コハクの血を取り込んだことで記憶を取り戻したなら、あずきもループを起こせるのではないか」という仮説を立てていました。

この試みは上手くいくのでしょうか?

その後の2人の運命は如何に。



エンディング分岐条件

このゲームは全4種類のエンディングがあり、選択肢で分岐します。

その流れとストーリーの続きを解説していきます。

『姉について聞いてみる』からの分岐

最初のループ最終日の屋上で、最初の選択肢。
『姉について聞いてみる』
一言だけコハク姉のことを教えてくれます。

その後、あずきが「戻れ」と念じたところで青い光に包まれ、気付いたら教室に。
以前と同じようにコハクが編入してきますが、その様子はとても明るいとは言えません。

この様子から、戻ってきた世界はコハクがループに入る前の世界なのではないかと推察します。

冷たいコハクに突き放されるも、何とか距離を縮めようとするあずきは、クラスメイトと一緒に秋祭りへ行きます。
どうやらコハクはクダンを参拝するために来たようで、そのことに理解を示そうとしたあずきに「おかしな人だな」と笑いつつ少し心を開いたようでした。
そしてループ予定の日、また屋上に来たあずきはコハクに今日が姉の命日で自分は死ぬつもりだったと聞かされます。

しかし秋祭りの際あずきの言動に殺意を覚えていたコハクは、あずきをフェンスの穴から突き落としてしまいます。
最期にあずきは青い光を目撃し意識を手放しました。

その後無事?にループしたあずきはその後しばらくコハクを観察するという手段を取ります。
6回目のループの時、あずきはふと気付いてしまいます。

「もしかしてループ能力を持ったコハクが死ねば解放されるのではないか?」

しかしずっと女子高生でいれるこの時間と、見えない未来を天秤に掛けたなら…。

コハクを殺す?

決意を固めてコハクを屋上に呼び出す場面の選択肢。
『ループを受け入れる』
最終日、屋上であずきはコハクに諦めたことを伝え、ずっとこの終わりのない世界で2人は生きていくことを受け入れます。
世界に2人ぼっちエンド。(勝手に私が付けた名称です)


『先へ、進む』
女子高生という時間が大切とはいえ、こんな世界はあずきの望むものではありませんでした。
そんなあずきに、コハクはループが何故始まったかをサラリと教えます。

やはり2度目のループの時青く光ったのはそういうことだったのですね。

コハクは自分が殺されるようだと察して、あずきに小瓶を押し付けて自分で飛び降りてしまいます。
おそらく彼女か姉の血が入っていると思われる小瓶ですが、コハクはこれを渡すことによって「人を殺した後どうしますか?」と選択を迫ったということです。
ここから更に2択で分岐


『巻き戻す』小瓶の血を飲む。

血を利用して再びループを起こし、コハクを生き返らせる選択をしたあずき。

ちなみに人間の血というのは共食い防止の機能からか大量に飲むと吐いてしまうらしいのですが。

あずきに与えられた血には、コハクの姉「トオル」の血も混ざっていたからか彼女の幼少期の記憶がチラッと見えます。

クダン様ほぼ人なんですね。
「忘れないで、この力を使う時は…。」

そして最初の日へ。

そこにはコハクの姿がありました。

コハク姉の記憶を見たことで、ループの解決方法が「原因を解決すること」であること、またコハクもそれを知っていることに気付いたあずき。
この場合は「殺してしまったあずきに許してもらうこと」で、あえて伝えてはいませんでした。

それが贖罪になると考えてもいたようです。

しかしあずきはそれとは無関係にお互いを許そう一緒に未来を生きようと話します。
1ヶ月後、お互いを呼び捨てで呼ぶくらいの関係になった2人は、冗談を交わしながらも前へと進んでいるようです。

行き止まりの先エンド


『先へ、進む』小瓶を捨てる。

コハクの飛び降りたところへ瓶も一緒に投げます。
遺書まで用意していたコハクのおかげで罪には問われませんでしたが、あずきは自責の念から引きこもりがちになり、あれだけ大事にしていた高校生活も自ら捨ててしまいました。

ループからは確かに抜け出せましたが、もう少しやりようがあったのではないかと思いつめ日々を送るだけの生活になってしまいます。

拭えない後悔エンド

『すぐにループを行う』からの分岐

これは最初の選択肢です。

こちらを選んでもストーリーの大まかな流れは変わりません。

変わるのはここから。
コハクを遠くから観察する手段を取ったあずきが、6回目のループの際に不穏なことを考えなくなっています。

ループをどうする?

ストーリー上、6回目のループで屋上に行く前に選択肢が出ます。

こちらはこの選択肢が最後になります。
『ループを受け入れる』

こちらの選択肢は上に載せた世界に2人ぼっちエンドへ。


『先へ、進む』
こちらでは、コハクが過去交通事故に遭った際に姉が力を使ってそれを救った話が聞けます。

また、あずきを突き落した後にループを発動したのは「許されたいと願ったから」。
泣きながらそう告白するコハクに、自分では無く私のためと思って生きてとあずきは伝えます。

その後の話は一緒。

こちらでは言葉にしていませんが、ループを抜けたのですから心ではすっかり許していたみたいですね。

誰かの未来エンド


ということでかなり長くなってしまいましたがこれでエンディングは全てです。

それぞれのエンディングでしか見れない本音のシーンなんかもあってかなり読み込んで楽しめる作品でしたね。

ループものは前置きが長くなってしまいがちなのですが、この作品は無駄なく起承転結がまとめられているので読み物が苦手な方もストレスなくできるのではないかと思います。

タイトル画面の金網の穴がハート形に見えるのには意味があるのでしょうか。



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